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被保険者とされない人

人手不足のため、海外から労働者を雇用することも多くなってきました。そのうち、季節的業務はどうなるのでしょうか?

社会保険(健康保険・厚生年金)の被保険者とされない人は、次のとおりですが、一定期間を超え雇用される場合は、「常用的に使用される」ものとみなされ、被保険者となります。

被保険者とされない人 被保険者となる場合
日々雇い入れられる人 1カ月を超えて引き続き使用されるようになった場合は、その日から被保険者となる。
2カ月以内の期間を定めて使用される人 当初の雇用期間が2カ月以内であっても、当該期間を超えて雇用されることが見込まれる場合は、契約当初から被保険者となる。
所在地が一定しない事業所に使用される人 いかなる場合も被保険者とならない。
季節的業務(4カ月以内)に使用される人 継続して4カ月を超える予定で使用される場合は、当初から被保険者となる。
臨時的事業の事業所(6カ月以内)に使用される人 継続して6カ月を超える予定で使用される場合は、当初から被保険者となる。

 

このように『4カ月以内の季節的業務』の場合は被保険者となりません。では、業務の都合上たまたま4カ月を超えた場合はどうなるのでしょうか?

この場合は被保険者とはなりません。

雇用保険の季節的に雇用される者はいずれかに該当する場合は被保険者とされません。(日雇労働被保険者を除く)

被保険者とされない人
4箇月以内の期間を定めて雇用される者
1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である者

 

では、業務の都合上たまたま4カ月を超えた場合はどうなるのでしょうか?

4か月以内の期間を定めて季節的に雇用される者が、その定められた期間を超えて引き続き同一の事業主に雇用されるに至ったときは、その定められた期間を超えた日から被保険者資格を取得する。例えば、季節的業務に3か月契約で雇用された者が引き続き雇用されるに至った場合は、4か月目の初日から被保険者資格を取得する。

となっていて、当初の期間を超えて雇用されることになれば超えた日から被保険者になります。

このように社会保険と雇用保険では扱いが違うことに注意してください。

特定健康診査と特定保健指導

協会けんぽ等の医療保険者は、内臓脂肪の蓄積等に着目した生活習慣病に関する検査「特定健康診査」及び特定健康診査の結果により健康の保持に務める必要がある者に対する保健指導「特定保険指導」の実施が義務となっています。(2008年4月 高齢者の医療の確保に関する法律)

対象者は原則40歳から74歳の協会けんぽ等の被保険者・被扶養者です。

このため、協会けんぽ等では年度内お一人様1回に限り、協会けんぽが健診費用の一部を負担してくれます。

特定健康診査の項目

特定健康診査の項目は労働安全衛生法上の定期健康診断とほほ一致しています。但し、費用補助があるので安く受診することが可能です。

  1. 問診
  2. 触診
  3. 身体計測(腹囲)
  4. 胸部レントゲン検査
  5. 血圧測定
  6. 血液一般検査
  7. 肝機能検査
  8. 血液脂質検査
  9. 血糖検査
  10. 尿・腎機能検査
  11. 心電図検査
  12. 便潜血反応
  13. 尿酸検査
  14. 胃部レントゲン検査(胃内視鏡検査)
  15. 眼底検査(医師が必要と認めた場合)

などがあります。赤字のものは定期健康診断より増えているもの。

定期健康診断は「労働安全衛生法」、特定健康診査は「高齢者の医療の確保に関する法律」と根拠法は違いますが、40歳から74歳の方は特定健康診査を受診すれば良いでしょう。

健診センターなどの医療機関もこちらを勧めると思われます。

40歳以上の人の方が、健康診断を安く受けられると認識されているのはこの違いです。

特定健康指導

特定健康診査(生活習慣病予防健診)を受けた後に、メタボリックシンドロームのリスク数に応じて、生活習慣の改善が必要な方に行われる保健指導のことです。

従業員(被保険者)は協会けんぽが補助してくれますので無料で受ける事が出来ます。

健康診断の対象者と項目

健康診断の対象者

健康診断の対象者は常時使用する労働者となっています。

では常時使用する労働者とはどのような労働者でしょうか?

一般健康診断を実施すべき「常時使用する短時間労働者」とは、次の(1)と(2)のいずれの要件をも満たす場合としています。(平成19年10月1日基発第1001016号)

  1. 期間の定めのない契約により使用される者であること。なお、期間の定めのある契約により使用される者の場合は、1年以上使用されることが予定されている者、及び更新により1年以上使用されている者。(なお、特定業務従事者健診<安衛則第45条の健康診断>の対象となる者の雇入時健康診断については、6カ月以上使用されることが予定され、又は更新により6カ月以上使用されている者)
  2. その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分3以上であること。

通常の労働者=正社員の週所定労働時間が40時間の場合、週30時間以上のパート/アルバイトは対象となります。1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の概ね2分の1以上である者に対しても一般健康診断を実施するのが望ましいとされています。

特定業務従事者健診とは深夜業などの特定業務に従事する労働者に対しては、当該業務への配置換えの際および6ヶ月以内ごとに1回、定期的に、定期健康診断と同じ項目の健康診断です。(但し、胸部エックス線検査については1年以内ごとに1回、定期に行えば足りる)

なお、深夜業に従事するとは深夜業(22:00~翌5:00)を1週間に1回以上又は1ヶ月に4回以上行っている状態です。(昭和23年10月1日基発第1456号)

健康診断の項目

健康診断の項目は次のようになります。

  1. 既往歴及び業務歴の調査
  2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
  3. 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
  4. 胸部エックス線検査及び喀痰検査
  5. 血圧の測定
  6. 貧血検査(血色素量、赤血球数)
  7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
  8. 血中脂質検査(LDL・HDLコレステロール、TG)
  9. 血糖検査
  10. 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
  11. 心電図検査

赤字の項目は34 歳以下の者と36 歳~39 歳の者については、医師が必要でないと認めるときは省略できます。

とは言え、うちのスタッフはよほど理由が無い限り34 歳以下であっても、省略のない健康診断を受けるようにしています。

健康診断の種類と費用負担

健康診断の種類

健康診断はどのようなものがあるのでしょうか?

健康診断の種類 内容
一般健康診断 雇入時の健康診断
定期健康診断
特定業務従事者の健康診断
海外派遣労働者の健康診断
特殊健康診断 有害な物質を扱う労働者などが対象
健康診断の種類

一般的に健康診断と言われているのは雇入時の健康診断と定期健康診断の事です。定期健康診断は1年以内毎に1回実施しなければなりません。

費用負担

これらの健康診断の費用及び受診時の賃金はどのように扱えば良いのでしょうか?

種類 費用 賃金 備考
一般の健康診断 有り 望ましい 雇入時、定期健康診断など
特殊健康診断 有り 有り 有害な物質を扱う労働者など
任意の検査 無し 無し がん検査など任意の検査
再検査・精密検査 無し 無し 定期健康診断等後の検査
二次健康診断 無し 無し 定期健康診断等後に脳・心臓の項目に異常有り
健康診断の違いによる会社負担義務

一般の健康診断に関しては労働安全衛生法により義務化されているので、その費用については当然会社が負担すべきとされています。(昭和47年9月18日基発第602号)

賃金に関しては当然に会社に支払い義務があるとはされていませんが、健康の確保は事業の円滑な運営の不可欠な条件であることから、受診に要した時間に対する賃金は支払うことが望ましいとされています。(同通達)

特殊健康診断に関しては業務遂行に関するものですので、費用も賃金も会社に負担義務があります。

健康診断の時に任意のがん検診などを付加する会社も多くありますが、これらの費用負担は当然任意です。全額負担、半額負担などが考えられます。

また、定期健康診断等の結果、異常が認められた時の再検査・精密検査・二次健康診断に関しては会社の負担義務はありません。定期健康診断等の結果、脳・心臓疾患に関連する項目に異常があると診断された場合は二次健康診断として受診できますが、こちらは労災指定病院で受診することで費用の負担なく受診できます。

労働者の受診義務

一般の健康診断、特殊健康診断ともに労働安全衛生法で定められている健康診断ですので、労働者にも受診義務があります。もし受診しない労働者がいる場合は会社は義務であることを粘り強く説明し受診してもらう必要があります。

任意のがん検診などは勿論、労働者は受診義務はないことから会社が強制することは出来ません。

会社の福利厚生で任意のがん検診などを行う場合は多々ありますが、労働者が断った場合は強く強制するものではありません。

長時間労働に関する時間を整理してみました。

長時間労働に関する数字を整理してみました。2019年4月より時間外労働の上限規制が始まりました。時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。

臨時的な特別の事情がある場合は、特別条項付きの36協定を行う必要がります。特別条項付きであっても月100時間未満、2~6ヵ月平均80時間以内にする必要があります。

この100時間、80時間は労働関連の法律ではよく出てきます。これ以外にも長時間労働に関する時間があるので整理してみました。

60時間 規則 月60時間を超える残業に対する割増賃金率を50%に引き上げ。(中小企業は2023年4月1日から)
80時間 規則 時間外労働と休日労働の合計時間が2~6ヵ月平均でそれぞれ80時間以下になるようにしなければならない。月45時間を超えられるのは年6回まで。
脳疾患・心臓疾患の労災認定 発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できることを踏まえて労災認定は判断される。
精神疾患の労災認定 1か月に80時間以上の時間外労働を行った場合に心理的負担の強度を「中」とする。その他の心理的負担の強度が「中」のものがあれば、総合して「強」と判断されることがある。
面接指導 労働者本人に時間外・休日労働時間が80時間超に労働時間の情報を提供しなければならい。

産業医に時間外・休日労働時間が80時間超に労働者の情報を提供しなければならない。

本人から産業医等による面接指導を申し出れば面接指導を実施しなければならない。

100時間 規則 時間外労働と休日労働の合計時間が100時間未満になるようにしなければならない。

月45時間を超えられるのは年6回まで。

脳疾患・心臓疾患の労災認定 発症前1か月間におおむね100時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できることを踏まえて労災認定は判断される。
精神疾患の労災認定 発症直前の連続した3か月間に1か月あたり概ね100時間以上の時間外労働を行い、その業務内容が通常その程度の労働時間を要するものであった場合、心理的負担の強度を「強」とする。うつ病等の罹患が労災認定される可能性が高い。
160時間 精神疾患の労災認定 1か月におおむね160時間を超えるような時間外労働を行ったとき心理負担の総合評価を「強」とする。うつ病等の罹患が労災認定される可能性が高い。

注意すべきことは労災認定がされると安全配慮義務(労働契約法第5条)の不履行となり、損害賠償請求を受ける可能性があることです。1億円を超える損害賠償が裁判で決定されていることもあります。

残業時間は月45時間を超えないようにし、どうしても超える場合でも月80時間未満になるよう管理すべきです。万が一超えてしまった場合は医師の面接指導を超えた労働者に受けてもらい、また翌月以降は残業をしないなど過重労働にならないよう工夫しなければなりません。